乳歯歯髄幹細胞由来エクソソーム(SHED-Exos)またはEVを、骨格筋オルガノイドに滴下・添加し、筋組織修復促進効果を形態学的および免疫染色学的に評価する。特に、マクロファージのM1/M2極性変化との関連性を含めて、修復促進のメカニズムを解析する。
実験系の概要
項目 |
内容 |
対象 |
マウス骨格筋幹細胞由来の筋オルガノイド(3D培養) |
介入 |
SHED-EVsまたはSHED-Exos 滴下処理(単回・反復) |
観察時間 |
0時間、24時間、72時間、7日、14日など(経時観察) |
観察法 |
光学顕微鏡(組織形態)、共焦点レーザー顕微鏡(免疫染色)、画像解析ソフトで定量評価 |
主な評価指標(例) |
筋構造再生、M1/M2マクロファージの割合、ミオファイバー形成、核数、再生マーカー発現量 |
実験群
群名 |
内容 |
Control群 |
SHED-EVなし(PBSのみ) |
EV群(Low) |
SHED-EV低濃度(例:10 µg/mL)滴下 |
EV群(High) |
SHED-EV高濃度(例:50 µg/mL)滴下 |
Exosome群(精製済) |
超遠心等で精製したExosomeのみ投与 |
評価指標と観察項目
1. 筋オルガノイドの形態的再生指標
- 筋線維構造:ミオファイバーの伸長・分岐パターン(光学・レーザー)
- 中心核の形成:再生指標(DAPI染色と形態観察)
- ミオシン重鎖(MHC)発現:筋細胞分化の指標(免疫染色)
2. マクロファージの極性変化(M1 vs M2)
- M1マーカー:iNOS、CD86(免疫染色/共焦点観察)
- M2マーカー:Arg1、CD206(同上)
- それぞれのマーカー陽性細胞の割合または強度を画像解析ソフトで定量化(ImageJなど)
3. 細胞増殖・アポトーシス指標
- Ki-67:増殖指標(免疫染色)
- Caspase-3またはTUNEL染色:アポトーシス指標
4. ECMリモデリング・再生関連因子
- TGF-β1、IL-10:免疫調節因子(抗炎症性)
- TNF-α、IL-6:炎症性因子(M1誘導マーカー)
- VEGF:血管新生マーカー(再生の補助評価)
実験手順(例)
- Day 0
- 骨格筋オルガノイド播種(MatriGelなど使用)
- オルガノイド成熟(48–72時間)
- Day 2
- 各群にSHED-EVを滴下投与(1回、または24h毎の反復)
- Day 3〜14
- 各観察時点(24h, 72h, 7d, 14d)でサンプル固定・免疫染色
- 観察・画像取得
- 光学顕微鏡で形態スクリーニング
- 共焦点レーザー顕微鏡でマーカー発現評価
- ImageJ等で細胞数・蛍光強度などを定量化
データ解析
- 正規性確認後、One-way ANOVA+Tukey法による多重比較
- M1/M2比、MHC陽性面積、核数、Ki67陽性率などの定量データを統計比較
考察ポイント
- EV投与により筋オルガノイドでM2マクロファージが増加→抗炎症環境の形成?
- M2増加とともにミオファイバーの再形成や中心核増加が起こるか?
- 高濃度と低濃度の差があるか? Exosome精製群と全EV群に違いはあるか?